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皮膚科医が解説10代の薄毛の原因と対処法
10代という若い世代で薄毛の悩みを持つお子さんや、その親御さんからの相談を受けることがあります。10代の薄毛は、大人の薄毛とは異なる原因が関わっていることも多く、正確な診断に基づいた適切な対処が重要です。まず、考えられる原因ですが、AGA(男性型脱毛症)は思春期以降に発症するため、10代後半であれば可能性の一つとして考慮しますが、それ以外にも様々な要因が考えられます。最も多いのは、生活習慣の乱れによるものです。睡眠不足、栄養バランスの偏り、過度なストレスは、ホルモンバランスや自律神経の乱れ、頭皮の血行不良を引き起こし、髪の成長を妨げる大きな要因となります。また、間違ったヘアケア、例えば洗浄力の強すぎるシャンプーの使用や、スタイリング剤の洗い残しなども、頭皮環境を悪化させ、抜け毛につながることがあります。さらに、円形脱毛症も若年層に発症することがあります。これは自己免疫疾患の一種と考えられており、ストレスが引き金になることもあります。他にも、頭皮の脂漏性皮膚炎や、まれに甲状腺機能異常などの内科的な病気が背景にあることもあります。このように原因は多岐にわたるため、自己判断は禁物です。もし、抜け毛が急に増えた、地肌が明らかに透けて見える、円形に髪が抜けている、頭皮にかゆみや赤み、フケがひどいなどの症状が見られる場合は、早めに皮膚科を受診してください。皮膚科では、問診や視診、場合によっては血液検査などを行い、原因を特定します。原因に応じた治療やアドバイスを行いますが、多くの場合、まずは生活習慣の改善や正しいヘアケア指導が中心となります。必要に応じて、炎症を抑える外用薬や、ビタミン剤などが処方されることもあります。AGAと診断された場合でも、10代での治療薬の使用は慎重に判断する必要があります。焦らず、まずは専門医に相談することが、解決への第一歩です。