友達と違う髪クラスで感じた劣等感

僕が自分の髪の変化に気づいたのは、中学3年生の夏でした。部活の練習後、シャワーを浴びて鏡を見た時、濡れた前髪の生え際が以前より後退しているように見えたんです。「気のせいかな?」そう思おうとしましたが、それからというもの、自分の髪が気になって仕方なくなりました。授業中、前の席の友達の黒々とした後頭部を見るたびに、自分の頭頂部は大丈夫だろうかと不安になりました。体育の授業で汗をかいたり、プールの授業で髪が濡れたりするのが、人一倍嫌でした。地肌が透けて見えるのが恥ずかしかったからです。周りの友達は、ワックスで髪を遊ばせたり、流行りの髪型にしたりしているのに、僕はどうすれば薄毛が目立たないか、ということばかり考えていました。美容院に行くのも憂鬱でした。「薄いの気にされてますか?」なんて聞かれたらどうしよう、と。幸い、直接的に髪のことをからかってくる友人はいませんでしたが、それでも常に「周りはどう思っているんだろう」「笑われているんじゃないか」という疑心暗鬼な気持ちが消えませんでした。インターネットで「若ハゲ」「10代 薄毛」と検索しては、様々な情報に一喜一憂する日々。育毛シャンプーが良いと聞けば親に頼んで買ってもらい、頭皮マッサージが良いと知れば毎晩必死でやってみました。でも、目に見える効果はなく、焦りと不安ばかりが募っていきました。親にも、心配かけたくなくて、なかなか本当の悩みを打ち明けられませんでした。一番つらかったのは、誰にも言えない孤独感と、他の友達と自分を比べてしまう劣等感です。「どうして自分だけ…」そんな思いが、常に心のどこかにありました。学校に行くのが少し億劫になったり、人前に出るのが少し怖くなったり。たかが髪のこと、と思われるかもしれませんが、当時の僕にとっては、本当に深刻な悩みだったのです。