なぜ効かない?メソセラピーの薬剤と注入技術

メソセラピーを受けたにもかかわらず、期待した効果が得られない場合、その原因はどこにあるのでしょうか。技術的な側面、特に使用される薬剤と注入技術に焦点を当てて考えてみましょう。メソセラピーの核心は、髪の成長に必要な成分を頭皮の適切な層に直接届けることにあります。しかし、「何を」「どのように」注入するかが、効果を大きく左右するのです。まず、薬剤についてです。メソセラピーで使用される薬剤は多種多様です。代表的なものには、毛母細胞の活性化を促す成長因子(グロースファクター)、血行を促進し毛髪の成長期を延長させるミノキシジル、髪の栄養となるビタミンやミネラル、アミノ酸などがあります。これらの成分を単独で、あるいは複数組み合わせてカクテルとして使用します。問題は、患者さんの薄毛の原因や状態に対して、最適な薬剤が選択され、適切な濃度で使用されているか、という点です。例えば、AGAが主原因であるにも関わらず、成長因子の濃度が低かったり、ミノキシジルが含まれていなかったりすれば、効果は限定的になるでしょう。また、薬剤の品質も重要です。安価であっても、品質の低い薬剤や、有効成分の含有量が不明確なものを使用していれば、当然効果は期待できません。信頼できるメーカーの、臨床データに基づいた薬剤を使用しているかどうかも、クリニック選びの際の重要なポイントとなります。次に、注入技術です。薬剤をただ頭皮に注入すれば良いというわけではありません。有効成分を毛根周囲のターゲットとなる深さ(通常は真皮層)に、均一かつ確実に届ける必要があります。注入が浅すぎれば効果は得られず、深すぎても意味がありません。注入方法には、注射器を用いた手打ち、ダーマペンやダーマローラーといった微細な針がついた器具を用いる方法、専用の注入機器(メソガンなど)を用いる方法などがあります。どの方法が良いかは一概には言えませんが、施術者の技術力と経験が不可欠であることは共通しています。手打ちの場合は医師の技術に依存する部分が大きく、均一な注入が難しい側面があります。一方、機器を用いる場合は、深さや量をコントロールしやすいメリットがありますが、機器の設定や操作が適切でなければ効果は半減します。また、注入時の痛みや内出血を最小限に抑える技術も、患者さんが治療を継続する上で重要です。