ブリーチによる切れ毛が薄毛に見える仕組み

ブリーチをした後、なんだか髪全体のボリュームが減ったように感じたり、床に落ちている短い毛が増えたりして、「もしかしてはげてる?」と心配になった経験はありませんか。これは、ブリーチが直接毛根を弱らせて髪を生えなくさせているのではなく、多くの場合、ブリーチによる髪のダメージが原因で起こる「切れ毛」によるものです。ブリーチは、髪の内部にあるメラニン色素を分解するために、強力なアルカリ剤と酸化剤を使用します。この過程で、髪の表面を保護しているキューティクルが強制的に開かれ、髪の内部構造、特にタンパク質や水分を保持する組織がダメージを受けます。タンパク質が変性し、髪内部の結合が弱くなることで、髪の強度は著しく低下します。その結果、髪は乾燥しやすくなり、パサつきやゴワつきを感じるようになります。さらにダメージが進行すると、髪はわずかな物理的な刺激、例えばブラッシングやシャンプー、タオルドライ、あるいは寝ている間の摩擦などによっても、途中でプツリと切れてしまう「切れ毛」を起こしやすくなるのです。特に、ブリーチを繰り返したり、長時間薬剤を放置したりすると、ダメージは深刻化し、切れ毛のリスクは格段に高まります。毛先だけでなく、髪の中間部分で切れてしまうことも少なくありません。この切れ毛が増えると、一本一本の髪の長さが不揃いになり、全体の密度が低下したように見えます。また、ダメージによって髪が細く弱々しくなることも、ボリュームダウンの一因となります。これが、ブリーチ後に「髪が薄くなった」「はげたように見える」と感じる主なメカニズムです。つまり、毛根から抜け落ちているのではなく、髪の毛が途中で切れてしまっている状態なのです。適切なケアでダメージを補修し、切れ毛を防ぐことが、見た目のボリューム感を維持するためには非常に重要になります。