薄毛治療において、より高い効果を期待してミノキシジルの内服薬、通称ミノキシジルタブレット（ミノタブ）を選択する方もいらっしゃいます。外用薬に比べて体内への吸収率が高く、全身的に作用するため、発毛効果を実感しやすいとされる一方で、その分、副作用のリスク、特に肝臓への負担について注意が必要です。ミノキシジルタブレットは、服用後、消化管から吸収され、門脈という血管を通ってまず肝臓に運ばれます。肝臓で代謝され、有効成分であるミノキシジル硫酸に変換されてから血流に乗って全身に作用しますが、この最初の肝臓通過（初回通過効果）の過程で、肝臓は薬剤の処理という負担を負うことになります。健康な肝臓であれば、通常の用法用量を守っている限り、大きな問題に繋がることは稀かもしれません。しかし、ミノキシジルを代謝する能力には個人差がありますし、長期的に服用を続けることで、肝臓に徐々に負担が蓄積していく可能性も否定できません。特に、アルコールを日常的に多く摂取する習慣がある方や、他の薬剤を服用している方、肥満や脂肪肝など、もともと肝臓に負担がかかりやすい状態にある方は、ミノキシジルタブレットの服用によって肝機能が悪化するリスクが高まる可能性があります。実際に、ミノキシジルタブレットの服用に関連して、肝機能検査値（AST、ALT、γ-GTPなど）が上昇したという報告も存在します。これは、肝細胞がダメージを受けている可能性を示すサインです。多くの場合、服用を中止すれば数値は改善しますが、重篤な肝障害に至るケースもゼロではありません。そのため、ミノキシジルタブレットの服用を検討する際には、必ず医師の診察を受け、肝機能を含む健康状態をチェックしてもらうことが不可欠です。そして、服用を開始した後も、定期的に血液検査などを受けて肝機能の状態を確認し、異常が見られた場合には速やかに医師に相談することが、安全に治療を続ける上で極めて重要になります。安易な個人輸入などによる自己判断での服用は、深刻な健康被害につながるリスクがあるため、絶対に避けるべきです。