ヘアカラーの中でも特に髪色を明るく変化させるブリーチ。おしゃれを楽しむ上で欠かせない施術の一つですが、「ブリーチをすると髪がはげる」という噂を聞いて不安に感じている方もいるかもしれません。果たして、ブリーチは本当に薄毛や抜け毛の直接的な原因となるのでしょうか。結論から言うと、通常のブリーチ施術が、男性型脱毛症(AGA)のような、毛根自体が弱って髪が生えてこなくなるタイプの「はげる」現象を直接引き起こす可能性は極めて低いと考えられています。ブリーチ剤の主な役割は、髪の毛の表面を覆うキューティクルを開き、内部のメラニン色素を分解して脱色することです。この作用は髪の毛そのものに対して行われるものであり、髪を作り出す組織である毛母細胞や毛乳頭といった毛根部分に直接作用して、その機能を停止させてしまうものではありません。AGAなどの脱毛症は、遺伝やホルモンバランス、生活習慣といった、より体の内部的な要因が複雑に関与して発症します。ブリーチ剤が毛根に影響を与え、恒久的な脱毛を引き起こすという医学的な根拠は、現時点では確立されていません。ただし、これはあくまで「直接的な原因にはなりにくい」ということであり、ブリーチが髪や頭皮に全く影響を与えないわけではありません。ブリーチによるダメージが蓄積したり、頭皮にトラブルが生じたりすることで、一時的な抜け毛が増えたり、髪が細くなったり、切れやすくなったりすることは十分に考えられます。これらの現象が、見た目上「髪が薄くなった」「はげたように見える」と感じさせる可能性はあるでしょう。大切なのは、ブリーチの仕組みとリスクを正しく理解し、適切な施術とケアを行うことです。過度に恐れる必要はありませんが、髪と頭皮への負担を考慮した上で、ブリーチと上手に付き合っていくことが求められます。