甲状腺機能と髪の健康意外なつながり

私たちの体の新陳代謝をコントロールする重要な役割を担っているのが、喉元にある蝶のような形をした小さな臓器「甲状腺」です。甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンは、エネルギーの産生、体温調節、心臓や消化器の働きなど、全身の様々な機能に影響を与えています。そして、意外に思われるかもしれませんが、この甲状腺ホルモンのバランスは、髪の毛の健康とも深く関わっているのです。髪の毛は、毛根にある毛母細胞が分裂・増殖することで成長します。この毛母細胞の活動もまた、甲状腺ホルモンによって調節されています。そのため、甲状腺の機能に異常が生じ、ホルモンの分泌量が多すぎたり(甲状腺機能亢進症)、少なすぎたり(甲状腺機能低下症)すると、ヘアサイクル(毛周期)に乱れが生じ、薄毛や抜け毛といった症状が現れることがあるのです。特に、原因がはっきりしないびまん性(全体的)な脱毛が見られる場合や、急に髪質が変わった(細くなった、パサつくようになったなど)場合には、背景に甲状腺疾患が隠れている可能性も考えられます。もちろん、薄毛の原因は甲状腺疾患だけではありません。加齢、遺伝、ストレス、生活習慣の乱れ、他の病気など様々です。しかし、もし脱毛以外にも、疲れやすさ、体重の変動、動悸、体温調節の異常(暑がり・寒がり)、気分の変化などの体調不良を感じている場合は、一度、甲状腺機能の異常を疑ってみることも大切です。髪の毛は、体からのサインを発しているのかもしれません。