四十代女性の薄毛の悩みは深刻ですが、近年、治療法の選択肢も増えています。今回は、女性の薄毛治療を専門とする(架空の)皮膚科医、高橋先生にお話を伺いました。「四十代女性の薄毛は、加齢によるホルモンバランスの変化が大きな要因ですが、生活習慣やストレスなど、様々な要因が複合的に絡んでいることが多いです。そのため、まず原因を特定することが治療の第一歩となります」と高橋先生は言います。クリニックでは、問診や視診に加え、血液検査でホルモン値や甲状腺機能、栄養状態などをチェックすることもあるそうです。「治療法としては、まず生活習慣の改善指導や、正しいヘアケアのアドバイスを行います。これだけで改善が見られる方もいらっしゃいます。その上で、医学的治療が必要と判断された場合に、薬物療法などを検討します」。女性の薄毛治療で現在、日本で有効性が認められている外用薬は「ミノキシジル」です。「ミノキシジルは毛母細胞を活性化し、血行を促進する効果が期待できます。女性用には濃度1%の市販薬がありますが、クリニックではより高濃度のものを処方することもあります。ただし、効果や副作用には個人差があり、継続的な使用が必要です」。内服薬については、男性用のAGA治療薬(フィナステリドなど)は女性には原則禁忌であり、使用できる薬は限られています。「スピロノラクトンなどの抗アンドロゲン作用のある薬を、医師の厳格な管理下で処方することもありますが、適応は慎重に判断します。また、髪に必要な栄養素を補うサプリメントに近い内服薬(パントガールなど)もありますが、これらは補助的な位置づけです」。さらに、クリニックによっては、頭皮に直接有効成分を注入する「メソセラピー」や、低出力レーザー治療なども行われています。「薄毛は『治らない』と諦めないでください。原因に応じた適切な治療を行えば、改善は十分に期待できます。まずは専門医に相談し、ご自身に合った治療法を見つけることから始めましょう」。