生まれつき髪が細く、柔らかい。あるいは、母親も頭皮が敏感だった。そんな風に、遺伝的にデリケートな髪質や頭皮環境を受け継いでいると感じる方は、日々のヘアケアにこそ、細心の注意を払う必要があります。なぜなら、その繊細な頭皮環境は、間違ったケアによるダメージを受けやすく、それが薄毛の発症や進行の引き金になりかねないからです。遺伝的な素因があったとしても、今ある髪を健やかに保ち、頭皮トラブルを防ぐことは、予防的な薄毛対策として非常に重要です。まず、毎日使う「シャンプー剤」の選び方を見直しましょう。洗浄力の強い安価なシャンプーは、頭皮を守るために必要な皮脂まで根こそぎ奪ってしまい、乾燥やかゆみ、フケの原因となります。乾燥した頭皮は、バリア機能が低下し、外部からの刺激に非常に弱くなります。デリケートな頭皮には、洗浄力がマイルドで保湿成分が配合された「アミノ酸系」のシャンプーが最適です。次に、「洗い方」です。熱すぎるお湯は頭皮の乾燥を招くため、38℃前後のぬるま湯で、まずは1分以上かけてしっかりと予洗いをします。シャンプーは手のひらでよく泡立て、爪を立てずに指の腹で頭皮を優しくマッサージするように洗いましょう。ゴシゴシと力を入れるのは、細い髪を絡ませ、頭皮を傷つけるだけです。そして、「乾かし方」。濡れた髪は、キューティクルが開いて非常に無防備な状態です。自然乾燥は、雑菌の繁殖や頭皮の冷えに繋がるため絶対に避け、タオルドライで優しく水分を吸い取った後、すぐにドライヤーで乾かしましょう。その際、頭皮に直接熱風を当てすぎないよう、ドライヤーを20cm以上離し、常に動かしながら、根元から乾かすのがポイントです。また、ヘアスタイルによる物理的な負担にも注意が必要です。毎日同じ分け目にする、髪をきつく結ぶといった習慣は、「牽引性脱毛症」の原因となります。定期的に分け目を変えたり、髪を下ろして頭皮を休ませる日を作ったりする工夫も大切です。遺伝的に受け継いだデリケートな髪と頭皮は、いわば上質なシルクのドレスのようなもの。丁寧に、優しく扱ってあげることで、その美しさを長く保つことができるのです。