AGA治療の最終手段として自毛植毛を検討する人も増えていますが植毛さえすればもう薬を飲む必要がなくなり治療期間という縛りから解放されると誤解している人が少なくありません。確かに植毛は薄くなった部分に自分の毛根を移植する外科手術であり一度定着すれば半永久的に生え続けるという強力なメリットがあります。しかし植毛手術を受けたからといってAGAそのものが完治するわけではありません。植毛後の定着期間におけるケアと既存の髪を守るための薬物治療の継続期間について正しい理解を持つことがトータルでの美観維持には不可欠です。まず植毛手術後の期間についてですが移植した毛根が完全に定着し自然な長さまで生え揃うには約一年という長い期間が必要です。手術直後は移植部位にかさぶたができたり一時的に移植毛が抜け落ちるショックロスという現象が起きたりします。術後一ヶ月から三ヶ月頃は一時的に見た目が悪くなる時期もあり忍耐が必要です。その後四ヶ月目くらいから新しい髪が生え始め半年で五割程度一年経過してようやく完成形となります。つまり手術をした翌日からフサフサになるわけではなく薬物治療と同様に結果が出るまでには相応の待機期間があるのです。そしてさらに重要なのが植毛をしていない部分の既存毛に関する問題です。AGAは進行性であるため移植した元気な髪は残り続けてもその周りの元々あった髪は薬で進行を抑えなければやがて抜け落ちてしまいます。もし植毛後に薬物治療を止めてしまうと移植した部分だけが離れ小島のように残ってしまい極めて不自然なヘアスタイルになってしまうリスクがあります。これを防ぐためには植毛手術を受けた後もフィナステリドなどの内服薬による治療期間を継続する必要があります。つまり植毛は治療期間を終わらせるものではなく見た目の密度を劇的に改善するためのオプションであり薬物治療との併用が大前提となるのです。もちろん植毛によって前頭部のラインを形成できれば薬だけでは改善が難しかった部分の悩みは解消されます。その意味で精神的な治療期間のゴールには近づくことができるでしょう。しかし生物学的なAGAとの戦いの期間は依然として続きます。植毛手術を受ける際は手術の定着期間だけでなくその後の維持期間における薬の服用コストや手間も含めて長期的なシミュレーションを行うことが重要です。植毛と薬物治療は対立するものではなく補完し合う関係にあります。薬で全体のボリュームを維持しつつ薬では限界のある生え際などを植毛でカバーするというハイブリッドな戦略が最も美しい仕上がりを実現します。植毛を検討する際は手術さえすれば終わりという短期的な視点ではなく術後も続くケアの期間を含めた長いスパンでの計画を立てることが後悔しないためのポイントです。医師としっかりと話し合い自分のライフプランに合わせた最適な治療の組み合わせと期間設定を行ってください。
植毛手術後の定着期間と薬物治療の継続期間の比較