妊娠中・産後の抜け毛と鉄分の重要性
妊娠中や産後は、女性の体にとって激動の時期であり、ホルモンバランスの変化とともに深刻な抜け毛に悩まされる人が後を絶ちません。この時期の抜け毛は「分娩後脱毛症」と呼ばれ、通常は一時的なものとされていますが、回復が遅れたり、そのまま薄毛が定着してしまったりするケースもあり、その背景には深刻な「鉄分不足」が関わっています。妊娠中、母体は胎児の成長のために大量の鉄分を優先的に臍帯を通じて送ります。さらに、分娩時の出血で鉄分を一気に失い、産後は母乳という形で自らの血液(栄養)を赤ちゃんに与え続けます。つまり、ママの体は常に鉄分が奪われ続けている状態にあり、髪の毛にまで栄養を回す余裕が全くないのです。この状態で育児による睡眠不足やストレスが加われば、抜け毛が増えるのは当然のことと言えます。したがって、産後の抜け毛対策において最も優先すべきは、高級な育毛剤を使うことでも、マッサージをすることでもなく、失われた鉄分を徹底的に補給することです。母乳育児をしている場合は特に、赤ちゃんのためにも、自分の髪のためにも、通常の女性よりも多くの鉄分(プラス2.5mg/日程度)を摂取する必要があります。レバーや赤身肉、小松菜などを積極的に食べ、必要であれば医師に相談して鉄剤やサプリメントを活用しましょう。また、ビタミンCを一緒に摂ることで吸収率を高める工夫も忘れずに。産後の抜け毛は、体が「栄養が足りないよ!」と叫んでいるSOSサインです。この声を無視せず、しっかりと栄養を補給してあげることで、体は回復へと向かい、やがて髪も元のボリュームを取り戻していきます。ママが元気で美しくいることは、家族全員の幸せにも繋がるのです。